2022年年末の令和5年度与党税制改正大綱において「相続税におけるマンションの評価方法については、相続税法の時価主義の下、市場価格との乖離の実態を踏まえ、適正化を検討する。」と記載されました。また、2023年1月30日、国税庁における「マンションに係る財産評価基本通達に関する有識者会議」として、マンションの市場価格と相続税評価額の乖離を是正していくことを目的として、不動産の評価方法を定めたルール(財産評価基本通達)の見直しを検討する第1回目の有識者会議が開催されました。

現状、相続時におけるマンションの相続税評価の方法は以下となります。    

マンション(一室)の相続税評価額(自用の場合)=区分所有建物の価額(①)+敷地(敷地権)の価額(②)

① 区分所有建物の価額 = 建物の固定資産税評価額×1.0

② 敷地(敷地権)の価額 = 敷地全体の価額(※)×共有持分(敷地権割合)

  ※路線価方式もしくは倍率方式により評価

つまり、マンションの相続税評価額は、相続税路線価や固定資産税評価額に基づき評価がなされますので、実勢価格と乖離しやすい状況にあります。例えば、1億円で購入したマンションが、相続税評価においては2,000万になる場合もあると言われておりますが、1億円を現金で保有していた場合には相続税評価においてはそのまま1億円で評価されてしまうため、相続税の節税のために富裕層はタワーマンションの1室を購入していると言われております。

さて、当職が昨年関わったマンションの評価やご相談を振り返り、実勢価格と相続税評価額の乖離を検証しようと思います。

 例1 豊洲タワーマンション  実勢価格 約83,000,000円 相続税評価額 約18,000,000円 乖離約4.6倍

 例2 文京区中規模マンション 実勢価格 約44,000,000円 相続税評価額 約15,800,000円 乖離約2.8倍

 例3 足立区中規模マンション 実勢価格 約33,000,000円 相続税評価額 約12,000,000円 乖離約2.8倍

やはり、実勢価格と相続税評価額には乖離が出ることが分かりましたが、タワーマンションの節税効果が大きいことが分かります。この乖離はマンションが自用(自己居住用)の場合ですが、賃貸している場合には相続税評価額がさらに下がりますので、実勢価格との乖離が広がることとなります。つまり、富裕層にとっては1億円で評価されてしまう現金が、タワマン1室を購入して賃貸することにより、評価額が5分の1に圧縮することも可能になり、タワマン投資が節税に繋がることとなります。

そういった実勢価格と相続税評価額とのギャップに関して、政府や国税当局はメスを入れて行きたいのだと思いますが、どのように検討しているのか、次回の投稿で触れたいと思います。