国土交通省は5月30日に、「不動産ID官民連携協議会」の会合を初めて開催しました。「不動産ID」とは、2022年に導入されたもので、不動産ごとに17桁の識別番号を割り振るもので、戸建てや商業ビルのほか、分譲マンションなども部屋毎に割り振られ、言わば不動産のマイナンバーというものです。ゆくゆくは、不動産IDに各自治体が都市計画法・建築基準法等の不動産上の規制、上下水道・電気・ガスなどのインフラ情報等を紐づけ、不動産売買の効率化に繋げる構想もあるようです。

現状、不動産売買・調査において、各種法令規制の確認は都市計画課、道路関係は道路管理課、上下水道は上下水道課、ガスは各地域の都市ガス企業など、調査するための窓口が分かれており、調査に時間がかかっているという状況です。窓口が分かれていても、同じ市役所内にあればいいのですが、上下水道関係は市役所本庁舎とは別であることも多く、都市ガス企業もわざわざFAXで問い合わせしなければならないなど、手間がかかるケースも多いです。そういった情報が一元化されれば、不動産売買・調査に要する時間が格段と短縮され、業務の効率が格段に上がりますので、不動産IDのデータ整備は早急に進めて欲しいと思います。

とはいえ、各自治体のシステムの進展(若しくはアナログのままなのか)はかなり差があります。東京23区であれば、ほとんどの情報がネットで取得できるようになっておりますが、一部の区は全くデジタル化されておらずネットで情報収集は出来ず区役所まで足を運ばなければならないという状況です。また、政令指定都市・中核市であれば23区に近い水準であることも多いですが、人口が少ない市・町であれば全くシステム化されておらず、建築計画概要書や道路台帳を取得するだけでも手間がかかります。システム導入にはかなりの費用がかかるとは思いますが、一度システムを導入してしまえば、毎年必要な人件費は浮くと思いますし、役所の人手不足の解消にも繋がりますから、各自治体は不動産IDの整備に向けて各種情報をシステム化して頂きたいと思っております。

業務でとある市役所に毎月行くのですが、全くデジタル化されていない市役所でして、建築計画概要書や道路台帳もデータではなく紙の保管になっているので、写しを請求するのに1回あたり10~15分かかるのです。これが全てシステム化されていれば、来庁者がシステム操作して、人の手を介さずにコピーが入手できるのです。ここ10年でも多くの市町村で改善してきているかとは思いますが、小さい市町村であればまだまだ非効率な点があるのかなとは思います。